パンダ談

余談。

『楽しいですか』広告ジャックで追い打ちをかける企業

先日から話題のニュースに更に追加のニュースが続いています。

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今回の記事は、上記のニュースの内容についてではなく、そもそもの某企業の広告展開の失敗についてのお話しです。

この話題は何ですか?

品川駅で先日、とある企業による広告ジャックが実行されました。そこには、「今日の仕事は、楽しみですか」というコピーが記載されていました。

この広告について多くの批判的意見が殺到したため、広告掲載当日中に撤去され、その件がネットで話題になっています。

主なポイントは?

その後、広告主である企業はお詫び文を発表し、自慢げに事前にツイートしていた広告ジャックの告知は削除されました。発言の削除は個人のバイトテロなどではよくある事ですが、企業が通常の活動において発言したものを削除するというのは異例と言えるでしょう。

お詫びの掲載は順当でありますが、過去の発言を消してまで自社の活動をなかったかのように振る舞う事は、あまり好ましいとは言えません。

良い点は?

この企業は、かなり自信満々で広告を実行したようでした。自社の企業文化を発信し、サラリーマンのメンタル改善を図ることや、新しい仲間を呼び寄せる事は企業にとって通常の活動であり、何ら問題はないと言えるでしょう。

悪い点は?

広告主の企業は空気が読めなかったようです。非常に痛々しいですね。

もし同じコピー文を掲載するメディアが違えば、このような不祥事になる事はなかったのではないでしょうか。

場所の問題

まず、品川駅という場所がよくありません。品川駅を利用する多くのスーツサラリーマンは、その近隣の大手企業で働く人や、地方から遠征してきて大きい取引先に向かう人達です。そうでな人も、巨大なターミナル駅である品川を経由して、更に遠くの目的地まで移動する途中の、乗り換えストレスに曝される人達が多い事でしょう。そこを歩いている最中にメンタルに余裕のある人など、ほぼいないと容易に想像できます。

実際にそうであるかは大きな問題ではありません。そのような仮定が容易にできるのにも関わらず、品川駅を選んだことが問題なのです。

時期の問題

次にタイミングです。コロナという死の恐怖に曝されている現代人の中でも特に通勤等で電車利用が不可避の人々が駅を利用しています。好き好んで品川のように密な場所を往来しているわけではありません。嫌々通っている人々が多いことでしょう。そのような厳しい心理状況の中、楽観的な企業の一方的な広告が、更に悪いことに広告ジャックという酷い手法を持って企業文化が拡散されたのです。嫌でも視界に入るその不愉快な文章は、怒りの沸点を軽く超える揮発性の高い燃料であった事は間違いありません。

どうすれば良かったのか

自分達の価値観をアピールしたいのなら、それが受け入れられる時と場所を慎重に選ぶべきです。まだこれが品川駅ではなく渋谷駅であったならば、このような騒ぎにはならなかったかもしれませんが、不愉快に感じる人がゼロになるかというとそんなことはないでしょう。

こういった、既成概念を無視した新しい価値観を持つ人達からの先進的なメッセージには、Web広告という最適なメディアがあります。そちらで実験して好評を得られたならば、データを分析して高く評価する人の属性を特定し、その属性に主に訴求できる場所に向けて限定的に広告を打つべきだったでしょう。

 

突然品川的であのようなKYな広告が出てきたら、反感を買うのは当たり前です。そんな単純な事も分からないならば、この企業の成熟度の低さが透けて見える事でしょう。