パンダ談

余談。

実は凄い?『ホラー映画』を決める3つの要素。

ホラー映画って、実は凄いんです。
何気なく観ちゃうホラー映画の、何が凄いのか?を、映画研究家の丸山が解説します。

恐怖がターゲット

ホラー映画以外の映画で、特定の感情をターゲットにしたジャンルは、感動もの、恋愛もの、などがあります。これらは、比較的簡単に作ることができます。その理由は、作り方のセオリーが既に構築されているからです。

しかし、恐怖をターゲットにしたホラー映画は事情が異なります。セオリー通りに作っても、恐怖を感じさせる事ができるとは限らないからです。恐怖というのは、日常において限定的です。ホラー映画のような状況は非現実的であり、感動や恋愛もののように、「こうしたらこう感じる」という単純なものではありません。

非現実的な感情である「恐怖」を観客に与える事ができるか。これはホラー映画が抱える重要なテーマです。これが達成できなければ、「全然怖くなかった」となり、低い評価になってしまうからです。

怖さを感じさせる技術は非常に高尚で、しかも同じ方法では飽きられてしまいます。飽きられないために、クリエイターは作品ごとに、怖がらせ方を新しくしなければなりません。

その方法は、ホラーの根源である敵役を変えるだけでなく、驚かせ方にも技術を要します。

ホラー映画の3要素

ホラー映画とカテゴリーの付いた作品でも、ホラーではない事がよくあります。人が襲われたり、死んだりする事がホラー映画になるわけではありません。ホラー映画に必要な要素を挙げてみましょう。

音楽

音楽はホラー映画で最も重要な要素です。これが欠けてしまうと、単なるドラマになってしまいます。ホラーのBGMは、決まった音楽が繰り返し使用される事はまずありません。映画ごとに新しい恐怖音楽を作る必要があり、敷居が高い要素です。

映像

ストーリーで楽しませる事は、映画においては比較的確立されたセオリーがあり、その通りに作る事で人々を楽しませる事ができます。しかし、恐怖は特定の「感情」であり、その感情を動かす事は、容易ではありません。暗闇から急に何かが飛び出せば怖いわけではなく、専門的な技術が求められます。

定番の方法は、カメラアングルの使い方です。観客が、「来るぞ来るぞ、何か来るぞ」と思うような映像を映し、その後に期待通り何かが来る。もしくは、何も来なかった、と安心させた直後にいきなりドン!と出る。といったテクニックはよく用いられます。

この辺は、完全にセンスの世界です。ホラー業界に共通するセンスが必要なのです。

敵役

ホラー映画では、適切な敵役が必要です。これは、単に普通の人間では成立しません。人が人を殺すだけでは、ホラー映画にはならないのです。多くの場合、超自然的な存在や、現実には存在しないもの、他には理屈の通らない人間(ジェイソン等)が用いられます。

しかし、人が人を殺すだけでも、条件を満たせばホラー映画になります。例として、『スクリーム』があります。この映画は、仮面を被った殺人鬼が人を殺します。仮面に隠されて「誰だか分からない」という点が恐怖に繋がりますし、ミステリー要素がホラーにマッチします。

もしこれが、単なる殺人を繰り返す、顔を隠さない登場人物であるならば、ホラー映画ではなくスリラーになるでしょう。

ホラーの定義は難しい

製作に高い技術やセンスが求められるホラー映画は、定義も若干難しい面があります。例えば、『ウェア 破滅』という映画は狼男がテーマの映画です。過去の複数の狼男映画は、ホラー映画でした。しかし、この映画はホラー映画とカテゴリが付いても、ホラー映画とは認められません。

音楽がホラーの範囲になく、演出も恐怖を喚起する構成になっていないからです。他の要素としては、狼男が超自然的な存在ではなく、ある家系に遺伝する体質のように描かれている点も、ホラー映画から逸脱する重要な要素です。

 

ウェア 破滅の記事はこちらから読めますよ。

まとめ

ホラー映画には、凄く怖いものもあれば、全然怖くないものもあります。それは、そもそも「恐怖」を感じさせるのは、非常に難しい事だからです。数ある映画の中でも、特に製作が難しいジャンルと言えるでしょう。

そのような難しいハードルを越えて完成した映画は、長年に渡る人気を獲得できます。過去の名作を観る事が最も確実な方法かもしれませんね。