パンダ談

余談。

自分が二人?!「パラレルワールド・マルチバース・多元宇宙・世界線」の詳細を解説

今回は、SF映画などで「あまり説明がされない」ため、難解になりがちな「多元宇宙の世界」を解説する。

マルチバースと多元宇宙

これらの違いは、英語と日本語というだけであり、どちらも同じ。マルチバース=多元宇宙である。

多元宇宙とは

あなたが何か選択するたびに、別の世界が生まれる、という世界観である。科学的に観測された事はないので、現在は単なるSF=サイエンスフィクションに過ぎない。

選択のたびに別の世界が生じるので、あなたが高校に行かなかった世界、別の大学に行った世界、結婚しない世界、子供のいる世界、今日コンビニに行った世界と行かない世界など、選択の結果で異なる未来に分岐した多数の世界が同時並行的に存在する世界観が多元宇宙である。

毎日アイスを食べる選択をして太る未来と、アイスを一切食べないために太らない未来など、何かの選択が未来に影響する。現在の科学技術では、他の世界を観る事も、移動する事も不可能であり、現実に存在するかも証明できない。

映画の世界では、このような多元宇宙論を採用する場合と、異なる世界観を採用する場合がある。いずれにも共通するのは、時空論である。

時空とは

時空は、時間と空間の事である。人類はまだ、時空を超える事ができない。仮に超える事ができた時のために理解しておくべき事は、タイムパラドックスの解決である。

タイムパラドックスとは

あなたが過去に戻り、父や祖父を殺したとする。そうすると、あなたは生まれてこないのだから、殺した後にあなたという存在は消えてしまうのだろうか?「祖父殺しのパラドックス」とも呼ばれるこの思考テストは、「矛盾」に当たるため答えが出せないとされている。しかし本当にそうだろうか?この点はまた別の記事で解説する。


このタイムパラドックスには、前提となる時空論がある。それは、世界線が1つか、複数かという点だ。

世界線とは

世界線は、タイムトラベルの際に登場する理論である。いったんパラドックスから離れてみよう。

あなたが過去にタイムトラベルし、誰かと恋に落ち、子供をもうけたとしよう。しかしあなたは元いた時間に戻らなくてはならない。そしてあなたは現代に戻る。その時、過去で作った子供はあなたと同じ世界に生きているのか?ここが、世界線を検討するポイントとなる。

  • 同じ世界に生きている:世界線が同じ
  • 同じ世界にはいない:世界線が異なる

世界線が同じ場合、あなたが過去でした行動は、自分のいた未来、「同じ世界線」に影響を及ぼす。
世界線が異なる場合、あなたが行った過去は、自分の経験した過去とは異なる世界であり、そこでの変化は、「その世界線の未来=異なる世界線」にだけ影響を及ぼす。自分が元いた「世界線」には影響しない。

このように、パラレルワールド(並行世界)がありかなしか、といったような時空論の違いを、世界線という言葉で表現する。以前はなかった言葉であり、この言葉1つで、説明が簡単にできる一方で、「世界線」という言葉を知らない人は置いてけぼりとなってしまう。しかも、一言で説明するのは難しい。

SF映画の中では、どんな初心者でも理解できるように丁寧にSF原理を説明する事はしない。よって、「面白いけど、なんか分からない」という結果を招いてしまう。

多くの要素の理解が求められるが、その基本として、「世界線」が同じか、異なるのか。1つなのか、複数なのか。といった点をしっかり押さえよう。

自分殺しのパラドックス

思考テストとはいえ、他人や祖先を殺すのは倫理的に問題がある。と思う人は、過去へタイムトラベルし、過去の自分を殺してみてはどうだろう。祖父殺しのパラドックスが矛盾として成立するのは、祖父を殺したら自分が生まれてこないから、祖父を殺しに行く者が誕生しないためである。

しかし、自分殺しなら、自分は生まれているので、パラドックスと言うのは難しい。しかし、世界線の理解には役に立つ。

  • 過去の自分を殺せる。殺しても自分は消えない⇒世界線が異なる。
  • 過去の自分を殺して、自分が消える⇒パラドックス発生。
  • 過去の自分を殺せない⇒世界線が同じか判断できない(未来が変わる要素がないから)

ここで問題になるのは上記2番目である。過去の自分を殺したら、未来の自分はいない。だから自分が消える、という場合はパラドックスが解消されたように、一応は見える。しかし、消えるかどうか以前に、過去の自分が死んだのなら、殺しに行くための未来の自分はいないのだから、そもそも殺されないはずである。消えればいいという事ではなく、殺しに行く事自体が不可能というパラドックスを抱えてしまうのである。

つまり、タイムパラドックスが生じるのは、「世界線が同じ」場合のみである。この点をしっかり押さえよう。

このパラドックスを採用した有名な映画には、「バックトゥーザフューチャー」がある。過去で、未来が変わる行動を起こしそうになり、写真から自分がうっすら消えていくというシーンがある。実はこれは、正にパラドックスをパラドックスのまま採用した、現実にはありえない事なのだ。

まだSF観が成熟していない時代の作品であるため、娯楽性を優先させたと考えられる。
SF的な正しさを優先しなかった作品と言えるかもしれない。

多元宇宙とパラレルワールド

これら2つには共通点が多い。しかし、基本は異なるもの。
それぞれの特徴を理解しよう。

パラレルワールド

パラレルワールドは、「自分のいる世界と似た、異なる世界が並行して存在する」という前提で、自分がいる世界とは別の世界を指す場合に使われる。

パラレルワールドの特徴として、「並行世界が無数に存在する」という観点を含まない場合が多い。また、あなたの選択のたびに世界が変わるのではなく、そもそも独立して存在する異なる世界である。

そのため、映画などでは、各世界は一対である事が基本である。
似て非なる世界、それがパラレルワールドだ。

多元宇宙

多元宇宙(マルチバース)は、パラレルワールドよりも後から誕生した言葉。あなたが選択するたびに、「Aを選択した世界」「Bを選択した世界」「何も選択しなかった世界」と、どんどん世界線がが分岐して増えていく世界観である。

パラレルワールドとの違いは、「並行世界が無限に増えていく」という点であり、それぞれの世界が似ている世界である必要もない(あくまでも映画においては)。


別の世界線では、あなたの性別も異なるバージョンがあるし、長生きバージョン、短命バージョンなど、考えられるあらゆる世界が存在する。

しかも、人の選択には限らない。天候がいい世界も悪い世界もある。誰も知らない土地で人知れず育つ植物が、良く育つ世界線もあれば、枯れる世界線もある。このように、無限に世界線が存在する世界観が、多元宇宙だ。パラレルワールドとは特徴が異なる点を掴んで頂けただろうか。

まとめ

この記事では、世界線とタイムパラドックスを中心に解説した。
次回は、より突っ込んだ解説に進む予定である。